研究概要 |
研究課題は,燃料電池等のエネルギー機器に利用されるポリイミド,セラミックス等の高温絶縁材料の絶縁性能評価装置を開発することである。この課題を達成するための平成14年度の研究計画(課題)を以下のように解決した。高温空間電荷分布測定装置開発について,研究課題の内の測定温度範囲を200℃まで拡大する技術を前年度開発し,今年度はその温度範囲でのポリイミドフィルムの200℃までの測定を可能した。また,今年度はこの測定温度範囲を目標の300℃にまでその測定範囲を広げるための装置改造を実施した。問題点は空間電荷分布信号検知のための圧電素子の耐熱温度が120℃であるが300℃とすることで,その耐熱温度を超える可能性があったため,シールドケース内での冷却方法を空冷と水冷を組み合わせた2段階式の冷却装置と開発した。そして開発した電極では300℃までの測定が可能になった。高温での空間電荷分布測定装置では試料と電極での音波伝搬の反射について測定誤差が生じる可能性がある。具体的には,音響インピーダンスが試料と近い電極(半導電電極)を用いることができない問題がある。このことから通常の金属電極を用いることが要求された。この金属電極の使用に関する測定誤差への影響について,数値解析を用いた音波の発生と伝搬についての解析を行った。その結果電極形状と材料についての指針と誤差解析が可能になった。空間電荷分布と外部回路電流の同時測定に関する装置開発もこの研究の目的である。この点については,電源の出力部に電流測定用装置を開発し挿入することで0.1μAから1mAまでの電流測定を安定して測定できるようになった。今後は,この装置を利用してポリイミドのガラス転移点までの空間電荷分布測定を中心に,各種セラミックッスについても調査を実施して行く予定である。
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