研究課題/領域番号 |
13650329
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
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研究分担者 |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 助手 (70261401)
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20261399)
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キーワード | 陽極酸化膜キャパシタ / Ta-Zr合金膜 / 高誘電率化 / 耐熱性 / 低損失特性 / 漏れ電流特性 / Schottky伝導 |
研究概要 |
耐熱性の向上を図ると同時に、比誘電率の低下を伴わないTa系キャパシタを実現するため、Ta_2O_5の比誘電率に近いZrO_2とTa_2O_5の混合誘電体を得る目的で、Ta-Zr合金膜に着目して陽極酸化膜キャパシタを作製し、そのキャパシタ特性と漏れ電流特性を酸化膜厚の低減効果と耐熱性との関連で検討した。得られた結果は、以下の通りである。(1)まず最初に、Ta-Zr合金膜中のZr含有量を増加させた時、Zr含有量の増加に伴ってtanδが低減する現象が確認できた。(2)そこで次に、Zr含有量60at.%のTa-Zr合金膜を陽極酸化して薄膜キャパシタを作製した所、300℃熱処理後のtanδは0.007程度であり、且つ、250℃熱処理後の漏れ電流も20V印加時で10^<-9>A台であり、Taより極めて高耐熱な特徴が得られた。(3)次に、その漏れ電流密度の自然対数1_n(j)を電界のEの平方根に対してプロットした結果、直線関係が得られ、Schottky伝導に従う事が判った。(4)また、Schottkyプロットの直線の傾きより比誘電率を求めると、約24の値となりTa_2O_5とZrO_2が2:3の割合で存在する均一な複合誘電体と見なせる事が判った。加えて、この様な特長は、酸化膜厚を低減させても同様であった。 以上より、Ta-Zr合金の陽極酸化膜キャパシタは、比誘電率の低下を招くことなく、高耐熱で低損失な薄膜キャパシタを実現する上で有用な材料であることが知られた。この様な特徴は、Zrに替えてHf酸化物を用いても同様と期待されることに加えて、HfO_2はゲート絶縁膜材料としても有望とされているので、現在、Hf陽極酸化膜の極薄化と電気的特性に関する予備的検討に着手している。
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