研究課題/領域番号 |
13650333
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡田 至崇 筑波大学, 物理工学系, 講師 (40224034)
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研究分担者 |
川辺 光央 筑波大学, 物理工学系, 教授 (80029446)
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キーワード | 量子ドット / 自己組織化ドット / 自己組織化結晶成長 / 走査型プローブ顕微鏡 / 導電性プローブ / ドット間結合 |
研究概要 |
GaAs(311)B基板上の量子ドット群は、(001)面上のドットと比べて整列性、均一性に優れ、高密度に自己組織化成長する。またドット列の全体配列化が生じる。本年度は、導電性プローブ法等を用いてドット表面の状態について評価し、次に量子ドット内に形成される量子準位を介した電子のトンネル物性について研究した。 (001)基板上のドット表面の場合、その形状像および電流像から、ドット上では同じような電流電圧特性を示すが、ウェット層ではほとんど電流が流れない。これは、ドットの上部はInGaAsで覆われているためその特性が見られるが、ウェット層では下地のGaAs層の影響が強く現れているためである。一方、GaAs(311)B基板上に成長させた量子ドットの場合、基板全体にわたってほぼ均一に電流が流れることが分かった。したがって(311)B基板上に高密度に形成されたドット表面では、表面ポテンシャルがどの位置においてもほぼ同じになっている。 次に、GaAs(311)B基板上In_<0.4>Ga_<0.6>Asドット群の中で、クリーンでかつ対称性に優れた単一ドットの量子準位とそのトンネル特性を調べた。InGaAs/GaAs自己組織化ドットの場合、ドット層の上に薄いスペーサ層を介して次のドット層を成長させると、下層のドットの直上に次のドットが形成される。また相分離によりInAs-richになっているドット表面とプローブ間のショットキー障壁は小さく、オーミック接触が容易に形成されやすくなっているため、コンタクトモードの測定では、印加バイアスにより試料内部のポテンシャル変調が可能である。このように最表面のドット層をナノマーカーおよびナノエミッタとして用いることで、探針からトンネル障壁層のスペーサ層を介して、直下に埋め込まれた単一ドットに少数電子の注入することができる。その結果、単一ドットが人工原子的な振る舞いを示し、ドットの電子状態として殻構造を成していることを明らかにした。
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