研究課題/領域番号 |
13650334
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
平塚 信之 埼玉大学, 工学部, 教授 (20114217)
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研究分担者 |
柿崎 浩一 埼玉大学, 工学部, 助教授 (70261881)
杉山 和夫 埼玉大学, 工学部, 助教授 (80114213)
小林 秀彦 埼玉大学, 工学部, 教授 (60125888)
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キーワード | 有機強磁性体 / 熱分解法 / アーク放電法 / 強磁性 / スピン / 電子スピン共鳴 / トリエチルアミン / 炭化ホウ素 |
研究概要 |
概要 本研究では有機磁性体の中でも、常温においても最も高い磁化を示すとされる炭素系磁性体に着目し、その磁気特性、構造および磁気発現の原因について調べ、高収率かつ要求される特性を満たす作製条件を検討した。 アミン系化合物の不活性雰囲気下における850〜1000℃の熱分解により炭素系磁性体を作製した。初めにトリエチルアミン原料における磁化の熱分解温度依存性を860〜950℃の範囲で調べた。熱分解直度の低下に伴って磁化が向上し、860℃で作製した試料は最も高い磁化値、2.46emu/gを示したが、収率は低下した。これは低温での熱分解では原料の分解が進まず磁化の起源となるスピン濃度が増大するためと考えられる。その後、構造および元素比の異なる原料を用いて同様の実験を行い、1,2-ジアミノプロパン原料において約10emu/gの優れた磁化を得ること出来たが、その収率は1%以下であった。この結果よりラジカル形成に関わる水素ラジカルのエッチング作用により、熱分解法では根本的に磁化と収率が相反の関係にあると思われる。 次に、収率を改善するためにアーク放電を用いた炭素系磁性体の作製を試みた。窒素雰囲気下において5mmΦの黒鉛電極を用いて10〜100Aの直流電流でアーク放電を行い、煤状の生成物を試料とした。黒鉛電極のみから得られる試料は、窒素ガス圧が約1kPa,放電電流が100Aの時に最大の磁化を示し、その値は0.107emu/gであった。さらに、電極に2mmΦの穴をあけ、B_4C、BN、アミン化合物を充填し同様の実験を行った結果、B_4C、BNの時に黒鉛電極のみのときより磁化が向上し、その値はB_4Cの時に0.139emu/gで最大値を示した。この試料のホウ素元素の含有率は約20%であり、黒鉛構造中にホウ素元素が導入されたことによって電子の局在化およびスピン間相互作用の変化がおこるため磁化が増大したと考えられる。また収率は約50%と大幅に向上した。
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