研究課題/領域番号 |
13650335
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
臼井 博明 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60176667)
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研究分担者 |
田中 邦明 東京農工大学, 工学部, 教務職員 (30251581)
佐藤 壽彌 東京農工大学, 工学部, 教授 (90092486)
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キーワード | 蒸着重合 / TPD / 多環芳香族 / π共役高分子 / ポリイミド / 正孔輸送 / 有機半導体 |
研究概要 |
有機薄膜型太陽電池を構築するためには、1.高い電荷移動度あるいは光受容性を有す有機薄膜の形成、2.異種の電荷輸送機能を持つ有機薄膜の積層、3.積層構造の熱的安定性、4.積層構造に対して外部と電荷の授受をするための電極形成、などが必要となる。本研究では1〜3項の要請を成膜技術で実現するために、蒸着重合法による電荷輸送性薄膜の形成を検討した。一方4項の要求を満たすために、有機電荷輸送材料へ高い効率で電荷注入を実現する電荷注入層の検討を行った。 蒸着重合法による薄膜形成では、まずペリレンテトラカルボン酸二無水物といくつかのジアミンを共蒸着することによって、熱的安定性の高いポリイミド薄膜を無溶媒で形成できることを示した。この薄膜はペリレン部位による電荷輸送機能及び高い光吸収係数が期待される。さらに光受容性部位としてアゾ色素を有すジアミンとジフェニルメタンジイソシアナートの共蒸着によってポリ尿素薄膜を作製し、成膜時に基板にバイアス電圧を印加することで色素配向の制御が可能であることを見出した。また、ビフェニルジアルデヒドとジアミノナフタレンの共蒸着によって、導電性の高いπ共役高分子膜の形成に成功した。次に、電荷輸送機能としてテトラフェニルジアミノビフェニルを持つアクリレート化合物をイオン化蒸着法によって成膜することにより、正孔輸送性高分子薄膜を得た。これらの手法は溶媒を用いずに高分子薄膜を形成できるため、異種有機材料との積層構造の構築に好適であり、電子輸送材料と積層蒸着することによって、有機薄膜型デバイスを形成できることを示した。 一方、有機薄膜への電荷授受を改善する目的で、陰極と有機薄膜界面に数ナノメートル厚のストロンチウムあるいは酸化ストロンチウムのイオン化蒸着膜を形成することにより、電子輸送材料とアルミニウム電極間での電荷移動を大きく改善できることを見出した。
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