代表的な外部界面である高分子がいしを対象として、シリコーンゴムと空気との外部界面における電気絶縁性能評価に関する実験・検討を行った。成果を以下に示す。 1.シリコーンゴム表面の水滴挙動:光学システムと高速度カメラとを用いて交流電圧印加時のシリコーンゴム上の水滴挙動を詳細に観察し、電気絶縁性能に及ぼす影響を評価した。 (1)印加電圧の上昇につれて水滴の振動は大きくなり、電界方向に引き伸ばされて最終的に水滴を介したフラッシオーバが発生した。 (2)水滴が帯電していない場合には、印加電圧周波数の2倍の周波数で振動した。水滴を帯電させると、印加電圧周波数で振動した。それぞれ、マクスウエル応力、クーロン力が支配的になるためと考えられる。 (3)実験した範囲内では、いずれの水滴体積においても3つの周波数で共振現象が観測され、それぞれ振動モードが異なることがわかった。 (4)3つの共振モードのうち、水滴の振動が最も激しくなるモードにおいては、フラッシオーバ電圧が60%程度に低下し、振動が電気的特性に影響を及ぼす場合があることを確認した。 2.汚損湿潤時のシリコーンゴム表面の漏れ電流の分離計測:導電性成分、ドライバンドアーク放電成分、コロナ放電成分、の3種類に分けて放電電荷量を測定するシステムを構築し、実験を行った。 (1)各電流成分の周波数特性が異なる点に着目し、漏れ電流を3つの成分に分離して計測する技術を確立した。 (2)塩霧加速劣化試験における累積放電電荷量は、導電性成分、ドライバンド成分、コロナ放電成分、の順に大きいが、ドライバンドアーク放電成分が試料の劣化に影響を与える可能性があることがわかった。 (3)従来の丸棒状試料の代わりに、作製容易な板状シリコーンゴム試料を用いた場合の試験仕様を調査し、試料・電極形状を工夫すれば塩霧加速劣化試験が可能であることを示した。
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