研究概要 |
高純度のアルミニウム板を硫酸中で陽極酸化した.形成された微細孔のサイズは直径15nm,間隔40nm,探さ3μm程度である.幅10ms,周期100msのパルス電圧を加えて,微細孔中にCo-Pt合金を充填した.CoとPtのモル比が100:1の浴を用いると,パルス電圧が8Vから14Vの範囲でCo含有量が90%程度のCo-Pt合金が析出した.パルス電圧12V,パルス数200で作製した試料の垂直磁化曲線の保磁力は1.7kOe,角形比は0.6であった.微細孔の底部にPtの下地を充填し,その上に同じ条件でCo-Pt合金を充填すると,保磁力が1.9kOe,角形比が0.9に向上した.(111)配向したPt下地によって,hcp Co-Pt合金のc軸が膜面平行に配向することが妨げられるためと考えられる.次に,CoとPtのモル比が9:1の浴を用いてCo-Pt合金を充填した.析出する合金のCo含有量はパルス電圧の上昇とともに高くなり,11V付近で50%になることがわかった.Co含有量が50%付近のCo-Pt合金を充填したアルマイト膜を真空中で熱処理した.その結果,600℃以上の熱処理で,保磁力が1.4kOeから1.9kOeまで向上することがわかった.しかし,CoPt規則合金の生成を示すX線回折ピークは見られず,高温熱処理ではCoとPtが分離するように思われる.さらに,浴のホウ酸含有量とpHを変えて,Pt下地上にCoを充填した.その結果,浴がホウ酸を含まないと,Pt下地上にCoが析出しないことがわかった.ホウ酸を含み,pHが6程度の浴を用いてPt下地上にCoを充填すると,2.7kOeもの高い保磁力が得られた.しかし,Co上にPtを充填すると,先に充填したCoが溶解した.これは,Pt浴のpHが2と低いためと思われる.そこで,pHが7のPd浴を用いたところ,CoとPdを交互に充填できることがわかった.
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