研究課題/領域番号 |
13650349
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 一広 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (00180993)
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研究分担者 |
美藤 正樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60315108)
岡部 弘高 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90221142)
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キーワード | フォトクロミズム / 遷移金属 / 光触媒 / 光電変換 / ゲル化 / タングステン酸 / 蓄電効果 / 大面積 |
研究概要 |
遷移金属酸化物の一種であるアモルファス酸化タングステンでは、電圧印加で色の変化が起きるエレクトロクロミズムを示す事が知られている。この現象を機能という側面から捉えた場合の特徴は、着色後に回路を開いても長時間その状態を保つメモリー効果を持つ事であり、ディスプレイ・不揮発性メモリーへ応用が考えられている。また、逆起電力も観測されており、蓄電池としての機能をも持っている。本課題の目的は、数種の(遷移金属酸化物ゲル+有機物添加物)による光エネルギーから化学エネルギー、そしてまた電気エネルギーへという両方の変換機能を動作させ得る素子の開発を行う事により、エネルギー蓄積可能な光電エネルギー変換系を構成し、ゾル-ゲル法の特徴を活かし高分子ゲルマトリックス中へ導入を行い、柔軟で折畳み・大面積化が可能な光電変換・蓄積機能を持つ新規素子の可能性を探ることである。 本年度は、大面積化に不可欠となえるゲル化を利用した製膜技術確立のための基礎物性の研究を重点的に行なった。フォトクロミズム・エレクトロクロミズム複合系セルの試作にはまず有機分子配合試料で薄膜を作成する手法を確立する必要があり、その力学特性について調べた。タングステン酸に添加する高分子の量によって薄膜の力学物性を調整する必要性があり、高分子のタングステン酸への添加はフォトクロミズムやエレクトロクロミズムの増感をもたらすが、力学物性の調節との兼ね合いで実際の製膜のための最適値は膜のサイズに依存する。特に、ゲル化による構造の変化がその後の特性に大きな影響を与えるので、構造評価が必要である。 それら知見を基に、複合系セルの試作を行なうためのセル構造の検討を行った。基本的には透明電極の下に有機分子配合試料を、さらにその下には、プロトン等陽イオンを出入りさせるために電解質を置き、一番下に電子を取り出すための電極を取り付けるという構造を取る。しかし、実用化のためには高効率化が不可欠であり、そのために燃料電池で用いられているイオン交換膜を応用するためには構造の最適化が必要である。
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