光コンピューター構築などに応用できる光演算機能を有するフォトリフラクティブ結晶BaTio_3薄膜を作製する目的で、PLD法を用いて成膜実験を行った。平成13年度の実験で、従来法を適用しただけでは、基板温度を665℃以上に保たないと結晶性の薄膜が出来ることがわかった。そこで、平成14年度は、基板に紫外線をあてることにより基板表面を活性化、結晶化を促進させることを試みた。 PLD法でターゲットを照射しているKrFエキシマレーザーの一部をビームスプリッターで分岐し、レンズでわずかに集光することにより基板表面に約25〜100mJ/cm^2のフルエンスで照射した。得られた薄膜をXRD、SEMで評価した。 基板を25mJ/cm^2で照射した場合、約600℃以上で結晶化が始まるようになった。紫外線で活性化する分、余分な熱エネルギーを与えなくても結晶性薄膜が得られることがわかった。さらに100mJ/cm^2で照射した場合、約250℃まで結晶化温度を下げることができた。SEM観察では、わずかに周期性の見られるランダムな構造が観察され、得られた多結晶薄膜の各結晶粒が、完全ではないにしろ、基板の影響をうけて配向する影響があることがわかった。 以上の結果より、本研究の成果として結晶性BaTiO_3。薄膜を従来技術よりもかなりの低温で作製できることを示すことが出来た。
|