本研究では、発光層や正孔輸送層にホスト材料(マトリックス)に有機色素(ゲスト材料)をドープし、さらに第2のドーパント(ゲスト)として有機色素や燐光材料をドープした有機竜界発光素子について発光特性を調べた. 1.発光層の改善 ITO/PVCz : DCM1+Be(PIP)_2/Alq_3/Al素子は発光層にPVCzをホストにDCM1とBe(PIP)_2をドープしたものを用いている.Be(PIP)_2を僅かに0.5mol%ドープした場合、Be(PIP)_2は発光せず、発光を補助する役割を担い発光輝度が2桁増大した. 2.発光層に燐光材料"イリジウム錯体"をドープした場合 ITO/PVCz : Ir(ppy)_3/Alq_3/Al素子は発光層にPVCzに燐光材料イリジウム錯体Ir(ppy)_3をドープしたものを用いた.イリジウム錯体をドープした場合、発光効率が増大し、駆動電圧9.2Vで1.8lm/Wであった.ゲスト材料のHOMO準位とLUMO準位がホスト材料のHOMO準位とLUMO準位の間になければならない.第2のドーパントとの関係も同様であり、HOMO準位、LUMO準位の関係は重要であり、エネルギー移動がスムーズに行われるように工夫しなければならない. ITO/α-NPD/CPB : Ir(ppy)_3/BCP/Alq_3/MgAg素子は発光層に共蒸着によりCPBにIr(ppy)_3を17wt.%ドープしたCPB(Ir(ppy)_3)を用い、正孔輸送層にα-NPDを、ホールブロック層にBCPを、Alq_3を電子輸送層として用いている.α-NPDの厚さが400Åのとき、発光効率は印加電圧10Vで36lm/Wを得ている.比較的高効率を得ているが、エネルギー閉じ込めなどについて十分に検討する必要がある. 三重項素子の発光層ホスト材料に対する条件は、(1)電子輸送性であること、(2)LUMO準位が燐光分子のそれより上にあること、(3)燐光波長がドーパントの燐光波長より短いこと、が必要である.ホスト材料に2種類の有機色素をドープした場合に増感効果が見られた.これらの例は同一のホスト材料に燐光分子と蛍光分子をドープしたものである.燐光ドーパントはIr(ppy)_3、Pt(thpy)_2、蛍光ドーパントはルブレン、キナクリドン(DMQA)である.これらから発光機構についてエネルギー移動過程を三重項-一重項間について考える必要がある.
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