研究課題/領域番号 |
13650355
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研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
林 伸行 久留米工業大学, 工学部, 教授 (30318612)
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研究分担者 |
鳥山 保 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (40016176)
坂本 勲 産業技術総合研究所, つくば中央, 主任研究員
蓮山 寛機 久留米工業大学, 工学部, 教授 (00037962)
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キーワード | 巨大磁気抵抗効果 / ナノサイズ超微粒子 / 超常磁性 / イオン注入によるグラニュラー層形成 / メスバウアー分光 / Fe-Co合金微粒子 |
研究概要 |
イオン注入法による巨大磁気抵抗(TMR)材料の新たな創製技術の確立を目的に、Fe/Al_2O_3やFe/MgOグラニュラー系のTMR発現機構を解明する研究を進めた。グラニュラー型TMR材料作製の最適条件を求めるなど、当初の本研究の目的を十分達成できる見通しである。 1.Fe/Al_2O_3系では、最大の磁気抵抗(MR)比は注入量1.5×10^<17>ions/cm^2で7.5%(外部磁場H=12KG)と得られた。この時、αFe超微粒子は超常磁性から強磁性状態に転移する臨界状態にあることをメスバウァー分光法(CEMS)により示し、TMRの本質的機構が超常磁性微粒子間の電子トンネリングであることを実験的に明らかにした。さらに高注入量での超常磁性ブロッキング状態やMR比の注入量依存性などを明らかにした。 2.Fe/Al_2O_3系以外のナノコンポジット創製の可能性を調べるため、MgO単結晶基板へのFeイオン注入実験を行った。Fe/MgO系でも超常磁性の鉄微粒子が形成されるが、得られたMR比はas-implaでは1%以下と小さい。しかし、N_2中で300℃アニーリング後に3%のMR比が得られた。この値は、Fe/MgOスパッタ膜で報告されていた値にほぼ一致している。この結果、イオン注入した酸化物中では300℃程の低い温度でも粒成長などその分散状態に変化が起こることが明らかにした。 3.Fe及びCoイオン共注入による合金超微粒子形成の可能性を調べた。微粒子の内部磁場はCo濃度25at.%で最大値を持ち、微粒子内の原子の飽和磁気モーメントが共注入により増加することなど、バルク合金の磁気モーメントについて良く知られているSlater-Pauling曲線に酷似した濃度変化が得られ、イオン注入によるナノ微粒子合金化の確証が本研究により初めて得られた。合金化によってMR比も増加した。
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