研究課題/領域番号 |
13650359
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉村 陽 甲南大学, 理工学部, 教授 (30278791)
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研究分担者 |
安藤 弘明 甲南大学, 理工学部, 教授 (50330402)
稲田 貢 甲南大学, ハイテクリサーチセンター, 博士研究員 (00330407)
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 助教授 (30203582)
パブロ バッカロ ATR環境適応通信研究所, 研究員
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キーワード | 自己形成型 / 量子ドット / 電子輸送 / 多体効果 / 磁場 / 光伝導 / g因子 / 共鳴ピーク |
研究概要 |
本研究は、自己形成型高密度量子ドットにおける多体効果と面内電子輸送特性について研究し、電子間の多体効果の影響が面内電子輸送特性に明瞭に現れるような構造を探ることを目的としている。ところでドット面の面内方向の電気抵抗は、面の厚さが薄いことと電気の流れがトンネルによるものであることから、あまり小さくならないことが予想される。そのため、他の部分に漏れることなくドット面内を実際に電気が流れるような構造を明らかにすることが最も重要なポイントとなる。我々はこれまでに高密度量子ドットサンプルで光伝導の電圧依存特性を詳細に調べ、共鳴ピークを観測した。そしてその温度依存性のデータなどを解析し、このピークはドット面内を流れている電子によっている可能性があることを明らかにした。そこで、実際にドット内を流れているかどうかを検証するため、磁場中での電子輸送測定を行った。その結果、高密度量子ドットサンプルにおいてのみ光伝導にピークが観測された。そして、このピーク電圧の値は磁場強度によって変わるため、磁場依存性の結果よりg因子の値を求めたところ、InAsバルクのg因子値とは大きく異なり、InAs量子ドットのg因子値に近いものであることがわかった。量子ドット中の電子のg因子の値は、量子閉じ込め効果によりバルクの値に比べてかなり小さくなることが知られている。したがって、今まで得られていた電流の共鳴ピークは実際にドット面内を流れているものであり、InAs量子ドット間の電子結合を介した電子の運動を見ているものと考えることができる。
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