高導電性Liイオンフッ素ゲル電解質の開発と二次電池への応用という目的で実験を遂行し、2年間で得られた成果をまとめると次のようになる。 ・ゲル電解質材料は、防錆性、抗HIV性や撥水性等の機能を持つフッ素系オリゴマーであり、基本骨格はAMPS(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、GEMA(2-グルコシルオキシエチルメタクリレート)であり、有機溶媒DMSOおよび各種イオン性液体から構成されている。 ・臨界ゲル形成濃度は、オリゴマー分子側鎖の長いフルオロアルキル基の場合に小さくなり、比較的分子側鎖の長いフルオロアルキル基を持つオリゴマーの方がゲル化し易いことが分った。 ・フッ素系Liゲル電解質は構成している2種類のオリゴマー、有機溶媒、リチウム塩をパラメータとして変化させて作成し、そのイオン導電率をアルゴン気中下で、コールコールプロットによる交流法を用いて測定した。 ・オリゴマーにAMPS系を用いた場合、リチウム塩がLiN(CF_3SO_2)_2のとき高いイオン導電率を持つことが分かり、導電率はリチウム塩濃度が5.3(mmol/g)の場合に4.5×10^<-3>(S/cm)が得られた。またGEMA系オリゴマーの場合は、AMPS系ものと比べると僅かに高い導電率を示しており、同一条件では7.5×10^<-3>(S/cm)となった。 ・イオン性液体Mi-3を使用したAMPS系オリゴマーは、ゲル化能を有しないが、DMSOとの混合溶媒にすることでゲル化能を示し、DMSO単独溶媒に比較し高い導電率を示した。 ・当該研究で得られた最大の導電率は、イオン性液体Mi-3を使用したRfがHFPO_3のAMPS系ゲル電解質のときであり、その値は1.44×10^<-2>(S/cm)となり、現在数多く研究されている各種ゲル電解質の中では、本導電率がパイオニアデータに近い結果となっている。 ・二次電池特性は、陰極にカーボン粉末と結着剤を、陽極にコバルト酸リチウムを用いて[カーボン/ゲル電解質/LiC_0C_2]系で充放電特性を求めた。本電解質を用いた開放電圧は約2V程度となった。
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