電子線リソグラフィでレジスト膜に形成した多段階の凹凸パターンを、反応性イオンエッチングの基板/マスクのエッチング選択比を利用して、凹凸を増幅して基板に転写し、マイクロ光学素子などの作製に必要な三次元微細構造を形成する技術の開発を目的としている。本年度、以下の結果を得た。 1.多段凹凸構造をレジスト膜に形成する電子線描画の条件最適化のため、近接効果を考慮した電子線露光シミュレーションとレジスト残膜シミュレーションを行なった。これにより、ラスター走査及び多重描画方式の電子線描画で、テラス幅1μmの微細パターンでも、ほぼ設計に近い階段形状が得られることが確認できた。 2.反応性イオンエッチングにおけるエッチング異方性やマスクパターンの開口サイズによるエッチング遅れが、転写形状にどう影響するかを形状シミュレータを用いて検討し、微細なパターンの形状転写における問題点について知見を得た。 3.SF_6(10%)とCHF_3(90%)混合ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、ガス組成とRFバイアス電圧を変えることでレジスト階段形状の段差を1〜5倍に増幅して、Si基板に増幅転写できることを示した。転写の増幅度が2程度の小さい場合には、テラス幅1μmの微細パターンでも階段形状の転写ができるとの結果を得た。しかし、転写の増幅度を上げると転写形状に歪みが生じてしまい、等方的エッチングのために微細パターンの転写はできないとの問題点が残った。
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