研究概要 |
平成13年度に以下の研究を行い、それぞれ目標に掲げた以上の成果を得ている。 1.強束縛近似による半導体バンド構造シミュレーションプログラムの開発 原子的強束縛近似ハミルトニアンの自動生成が可能となった。具体的には,最近接相互作用,第二近接相互作用の範囲内で,ダイヤモンド,閃亜鉛鉱構造,立方晶系,六方晶系の結晶系に対する強結合近似ハミルトニアンを 第一原理密度汎関数法によるバンド構造計算結果を遺伝的アルゴリズム(GA)を援用してパラメータ化する手法を確立した。その結果京束縛近似パラメータを簡便に生成し,あらゆる結晶半導体ナノ構造の電子状態の解析に使うことができるバンド構造シミュレーションツールを作成した。今後,神戸大学のWebHubに掲載してゆく予定である。 2.ナノサイズデバイス構造中の散乱機構を考慮した非平衡量子輸送デバイスモデリング MOS FETにおいて素子長が100nm以下の場合に有極性光学フォノン散乱,界面ラフネス散乱,不純物散乱,離散的不純物分布がもたらす効果と現実の半導体バンド構造(例えばSiの場合は6つの伝導帯谷)の効果を非平衡Green関数表式に取り入れ,現在1次元で行っている非平衡量子輸送デバイスモデリングを2次元モデルに拡張した。Si-SiO_2界面でのキャリアの量子化やソースから供給される電子の波動性が反映された電流電圧特性が得られている。 今後さらに、キャリアの散乱効果を含んだ形でのシミュレーションとデバイス微細化に伴う状態の離散化やトンネル現象等の量子現象の軽減法の探索とその効果を積極的に利用できるデバイス構造の探索を行う。 上記の成果の一部は神戸大学WebHub(http://www2.kobe-u.ac.jp/~lerl2/research1.htm)に掲載している。
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