研究概要 |
コア層,クラッド層に、それぞれ液相成長(Liquid Phase Deposition : LPD)法によるフッ素添加酸化シリコン(SiOF)薄膜,有機スピンオングラス(SOG)薄膜を用いた2次元薄膜光導波路の伝送損失の波長依存性を測定・評価した。LPD-SiOF薄膜(コア層,厚さ:1.16μm)/有機SOG薄膜(クラッド層,厚さ:1.34μm)構造の2次元薄膜光導波路を用いて、プリズム結合法によりTEモードの光を励起し散乱光検出法で伝送損失を測定した。光源には、波長532,632.8,670.5,682,783,834nmのレーザを用いた。測定波長範囲での伝送損失は約2〜9dB/cmとなり、シリコン基板側への漏洩損失増加による長波長側での伝送損失増加がみられた。 また、有機SOG薄膜(上部クラッド層,屈折率:1.38)/LPD-SiOF薄膜(コア層,屈折率:1.43)/有機SOG薄膜(下部クラッド層,屈折率:1.41)構造のスラブ型3層構造薄膜光導波路と上部クラッド層をAir(屈折率n=1.00)としたスラブ型2層薄膜光導波路との比較から、上部クラッド層形成による伝送損失増加はないことがわかった。波長632.8nmでの屈折率変化の測定から、上部クラッド層(有機SOG,200℃焼成),下部クラッド層(有機SOG,400℃焼成)の屈折率温度係数が、それぞれ-80×10^<-6>℃^<-1>,-60×10^<-6>℃^<-1>であった。また、3層構造の熱光学デバイスは2層構造に比べ、半波長電力の低減が可能であること,相対消光比は12〜14dBであり、2層構造とほぼ同等であること,がわかった。今後、熱光学スイッチの高性能化とともに、リブ型薄膜光導波路構造による分岐・方向性結合など受動デバイスへの応用を行っていく。
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