研究概要 |
2003年度に得た研究成果と研究現状について報告する. (1)近年,Fin型ダブルゲートMOSFET(FinFET)の研究・開発が積極的に進められているが,その閾値電圧(Vth)は主にゲート材料の仕事関数によって決まり,その制御が困難である.そこで,一体化されたFinFETのゲートを分離して閾値電圧の制御可能性を試みた.微細な4端子FinFET(XMOS)の作製に成功し,Vth制御性を電気的特性の測定から実証した. (2)現在,この作製したXMOS実チップの電気的特性のデバイスシミュレーション結果との一致がとれるシステム的なパラメータ抽出の研究を行っている.残念ながら2003年度中に成果を出すには至っていない.今後の課題である. (3)ボームの量子化ポテンシャルおよびネルソンの確率微分方程式を用いたモンテカルロシミュレーション法の開発し,量子効果を取り込んだ1次元半導体シミュレーションに成功している.2003年度は提案するシミュレーション手法を2,3次元に拡張することに注力した.しかし,高次元では解の収束性が不安定であり,非常に次元の拡張が難しいことが判明した.現在、ブレークスルーに向けて鋭意努力中である. (4)回路シミュレーション(SPICE)に使用できる4端子ダブルゲートMOSFET(XMOS)のデバイスモデルの開発を行っており,ダブルチャージシートモデルを提案している.現在,このデバイスモデルのSPICEへの組み込みを行っている.また、開発した初期デバイスモデルでは,コンスタントな移動度であったが,移動度に横方向電界の影響(速度飽和)を組み込み,デバイスシミユレーションとの良い一致を実証し,デバイスモデルの改善に成功した. 以上.
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