研究概要 |
1.ナノ構造人工格子膜媒体の作製,微細構造の解明,制御及び磁化機構の解明: (1).垂直記録二層媒体用極薄Pd/Siシード層の開発:[Co/Pd]n層/シード層/軟磁性層の媒体系において,記録層の高保磁力を維持しつつ,磁気交換結合の低減,微細な磁気クラスタを得るための極薄Pd/Siシード層の開発を行い,スパッタ法によるPd/Siシード層形成時の窒素ガス導入,ポストアニール,PdとSiの膜厚比の検討により,Pd/Si総膜厚を5nm(Pd(4nm)/Si(1nm))まで低減することに成功した.Pd/Si総膜厚を5nmにしても総膜厚10nmの場合と同等の高Hc,低α(α=4π(dM/dH)H=Hc,M-Hループの傾斜)が得られた. (2).[Co/Pd]n層/シード層/軟磁性層媒体の電磁交換特性:シード層総膜厚を5nmに低減すると,シード層総膜厚10nmの楳体と比べて記録感度,記録分解能D50,S/N比の改善得られた.これはシード層総膜厚を低減させてもCo/Pd人工格子膜を記録層に適するように改質できることを意味し,シード層総膜厚低減による[軟磁性層]-[記録層]-[ヘッド]の多重静磁気相互作用の増大の効果が現れていると考えられる. 2.記録機構,記録再生特性解析解法:垂直記録単層媒体(軟磁性層のない媒体)の解析解法を構築した.今後,[軟磁性層]-[記録層]-[ヘッド]の3者の多重磁気的相互作用を取り入れた垂直記録二層媒体の記録再生特性解析解法の構築に発展させたい. 3.媒体ノイズ理論:平成14年度の交流消磁ノイズ,直流磁化ノイズの解析解法に引き続いて,信号を記録したときのノイズ(変調ノイズ)のモデル化とノイズ解析解法を検討し,同解法を構築した.変調ノイズの解析解法は世界的に見ても初めてである.
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