研究概要 |
1.記録機構,記録再生特性解析解法: 垂直記録単層膜媒体(軟磁性層のない媒体)の記録再生特性解析解法を構築した.[軟磁性層]-[記録層]-[ヘッド]の多重静磁気相互作用を取り入れた垂直記録二層媒体の再生特性,反磁界の解析解法は平成12-13年度に構築している.これらの手法が3項の実験結果の会席に用いられた. 2.媒体ノイズの解析解法: 平成14年に交流消磁ノイズ,直流磁化ノイズの解析解法を,平成15年に信号記録時のノイズ(変調ノイズ)のモデル化とノイズ解析解法を検討し,ノイズの実験結果からノイズ源の分離推定を可能にする手法を構築した.この理論,手法を[Co/Pd]n人工格子媒体の実験結果に適用し,ノイズ源の分離を行った. 3.ナノ構造人工格子・複合膜媒体の作製,微細構造,磁化機構,記録再生特性,ノイズ特性の解明: (1).垂直記録二層媒体用極薄Pd/Siシード層の開発:平成12年に提案し,成功した『[Co/Pd]n人工格子垂直磁化層(記録層)下部にC, Siシード層を導入することにより記録層を高密度記録媒体に適した物理性質(磁化回転型磁化反転機構,磁性粒間の磁気交換結合の低減,微細な磁区)に改質する手法』を発展させ,[Co/Pd]n層/シード層/軟磁性層の系における極薄Pd/Siシード層を開発した. (2).微細構造,磁化機構,記録再生特性:スパッタ法によるシード層形成時の窒素ガス導入,ポストアニール,PdとSiの膜厚比の検討により,高垂直磁気異方性,磁性粒間の低交換結合を維持したままPd/Si総厚を平成14年に10nm,平成15年に5nm(Pd(4nm)/Si(1nm))まで低減することに成功し,高記録分解能,高S/Nが得られた.これはシード層によるCo/Pd結晶粒の孤立化の促進と,シード層厚低減による[軟磁性層]-[記録層]-[ヘッド]の多重静磁気相互作用の増大の効果(1項)が寄与している.
|