今年度は、本科学研究費交付の初年度であるので、研究遂行のためのいろいろな整備を行った。まず、数値計算が高速に行えるように、パーソナルコンピュータとその周辺機器の整備を進めた。次に、計算、実験データの転送、整理などがうまく行えるようソフトウェアなどの準備も行った。最後に、アンテナ作成を行い、その特性を計測するための銅板、銅テープ、コネクター、ケーブルなどを用意した。その結果、数値計算に基づき、実験を行い、その有効性を確かめる準備ができた。 矩形キャビティ付き半波長スロットアンテナのインピーダンスの周波数帯域は、約5%であるため、広帯域のスロットアンテナが望まれている。今年度の研究では、給電半波長スロットに2素子の寄生スロットを付け、寄生スロットと給電スロットの間隔、寄生スロットの位置、長さ、幅を変え、インピーダンスの広帯域化を試みた。その結果、キャビティの大きさをこれまでと同じにして、約11%の帯域を得ることができた。これは、矩形キャビティ付き半波長スロットアンテナの約2倍の帯域であり、今年度の目標である10-15%の帯域に達することができた。この計算結果と実験結果に関しては、非常によい一致を得ることができた。この成果を2001年7月に米国ボストンで行われたIEEE International Symposium on Antennas & Propagationで発表し、質疑応答を行った。また、学会出席者とスロットアンテナ研究に関する情報交換をすることができた。
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