今年度は、本科学研究費交付の最終年度であるので、数値計算、データ収集、実験に関して、より短い時間で、より精度のよい計算結果、測定結果が得られるようにソフトウェア、実験装置の改良を行った。 過去2年間に、インピーダンスの周波数帯域を5%から17%に改善することができたので、今年度の目標である20%を超える周波数帯域を持つスロットアンテナ形状をいろいろ考え、数値計算を試みた。その結果、23%の周波数帯域を持つS型スロットアンテナを見出すことができた。アンテナを製作し実験を行い、測定値と計算値の一致を確かめた。この成果を米国Ohio州Columbusで行われたIEEE International Symposium on Antennas & Propagationで発表し、質疑応答を行った。また、学会出席者とスロットアンテナ研究に関する情報交換を行った。 昨年度、17%のインピーダンス帯域が得られた十字ループスロットアンテナは、放射パターンの交差偏波が大きいので円偏波放射アンテナとして使える可能性があると考えていた。本年度の目標である周波数帯域20%以上が達成できたので、この十字ループスロットアンテナの円偏波放射の可能性を調べた。その結果、スロットの周囲長とスロット上の短絡位置を変えることにより、周波数帯域は狭いが、良好な円偏波が放射でき、同時に、インピーダンスの整合が取れることを計算と実験で確かめた。この成果を韓国ソウル市で行われたAsia Pacific Microwave Conferenceで発表した。
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