矩形キャビティ付き半波長スロットアンテナのインピーダンスの周波数帯域は、約5%であるため、広帯域のスロットアンテナが望まれている。 1年目は、給電半波長スロットに2素子の寄生スロットを付け、インピーダンスの広帯域化を試みた。その結果、キャビティの大きさをこれまでと同じにして、約11%の帯域を得ることができた。これは、矩形キャビティ付き半波長スロットアンテナの約2倍の帯域であり、今年度の目標である10-15%の帯域に達することができた。 2年目は、さらに広帯域のスロットアンテナを実現するため、十字型ループスロットを考えた。キャビティの大きさを昨年より小さくし、17%の帯域を得ることができた。今年度の目標である15-20%の帯域に達することができ、同時にキャビティの小形化も実現できた。 3年目は、目標である20%を超える周波数帯域を持つスロットアンテナ形状をいろいろ考え、数値計算を試みた。その結果、23%の周波数帯域を持つS型スロットアンテナを見付け、実験によりその特性を確かめた。 2年目に、17%のインピーダンス帯域が得られた十字ループスロットアンテナは、円偏波放射アンテナとして使える可能性があると考えていた。本年度の目標である周波数帯域20%が達成できたので、この十字ループスロットアンテナの円偏波放射の可能性を調べた。その結果、スロットの周囲長とスロット上の短絡位置を変えることにより、周波数帯域は狭いが、良好な円偏波が放射でき、同時に、インピーダンスの整合が取れることを確かめた。
|