研究概要 |
本年度は,レイトレースシミュレータの拡張および検証,時空間チャネルサウンダの構築に関して,次の成果を得た. 1.本研究室でこれまで構築してきたレイトレースシミュレータの性能評価を,主に市街地環境における実測実験との比較により行った.その結果,マイクロセル環境においては,見通しおよび浅い見通し外において,2次元-3次元ハイブリッドレイトレースシミュレータが正確な結果を出力した.一方,マイクロセル環境における深い見通し外およびマクロセル環境においては,垂直面レイトレースシミュレータの出力と局所的に一致する箇所があるものの,特に道路と電波到来方向が平行に近い場合に誤差が大きく,伝搬メカニズムの見直しが必要であることがわかった. 2.前項の問題点を解消するために,道路沿い建物上部における回折を考慮したレイトレースシミュレータを構築し,道路と電波到来方向が近い場合に正確な結果を出力することを確認した. 3.屋内用2次元-3次元ハイブリッドレイトレースシミュレータを構築し,送受信アンテナが同一室内に設置されている場合に関して実験的な評価を行い,正確な結果を出力することを確認した. 4.MIMO(多入力多出力)チャネルサウンダの高周波回路部分を無線LANの周波数体である2.45GHz帯で試作した. 5.ベクトルネットワークアナライザとポジショナ・コントローラを用いた,屋内及び近距離無線通信環境用簡易型チャネルサウンダを試作し,屋内および高速道路環境において伝搬路同定実験を行った.壁面における透過・反射等を精度よく測定することに成功した.
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