研究概要 |
本研究では,生物の脳,とりわけ人間の脳機能を解明するとともに,高度な工学的応用を見いだす人工ニューラルネットワークを開発することを主目的として行った.特に,脳がどのように外界の表現を獲得し,事物の認識を行っているかを明らかにし、生物の持つ柔軟性と融通性のある機械認識技術を確立することが具体的な目標である.本年度の研究では,前年度までに提案した従来のアナログニューラルモデルの自然な一般化で,しかも情報処理の側面から本質的と考えられる発火相関を取り入れた,生物学的に自然な共分散ニューラルネットワークを改良した.とくに,平均場近似として精度について,従来の平均場近似モデルより,在るパラメタの範囲で精度が落ちる場合がある原因を突き止め理論を改良することにより,すべてのパラメタの範囲で格段に精度が向上した.この成果は,電子情報通信学会NC研究会で発表した.また共分散ニューラルネットワークを画像のセグメンテーションに応用する基礎実験を行い,これが可能であることを示した.ニューラルネットワークの学習法として,近年注目を集めているサポートベクトルマシン(SVM)について,精度のよいマルチクラス識別器の構成,二次錘形計画法を応用した高速SVMの提案を行った.更に,幾何学的なマージン最大化学習法を提案し,多くの場合SVMよりかなり高速になることを検証した.また,カーネル主成分分析を応用した学習機械を開発し,従来学習機械においてモデル選択の問題として未解決であった,カーネルパラメタの自動設定手法を提案した.この方法は顔画像認識に応用された.これらの成果については,国際会議,論文において発表済みである.
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