ディジタルフィルタのスペクトル拡散通信への応用

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13650410
• 研究機関: 島根大学
• 研究代表者: 西村 正太郎 島根大学, 総合理工学部, 教授 (50031092)
• 研究分担者: 福間 慎治 島根大学, 総合理工学部, 助手 (50313565)
• キーワード: 適応ディジタルフィルタ / IIRノッチフィルタ / こう配法 / 定常特性 / 符号誤り率 / 狭帯域干渉除去 / スペクトル拡散通信 / PN系列

研究概要

1.実係数適応ディジタルノッチフィルタの実現
スペクトル拡散通信システムにおいて挟帯域干渉波を除去するための適応IIRノッチフィルタの新しい構成法を提案した.ノッチフィルタを用いた場合の受信機相関器出力における信号対雑音比の改善度について考察し,それを最大にするためのノッチ幅を求める適応アルゴリズムを求めた.ノッチ周波数を決める係数とノッチ幅を決める係数を同時に調整するアルゴリズムの収束特性を求める手法を導出しその有効性を計算機シミュレーションにより確認した,さらに符号誤り率について考察し,そのノッチフィルタのパラメータとスペクトル拡散に用いたPN系列の長さとの関係を定量的に評価できるようにした.
2.複素係数適応ディジタルノッチフィルタのQPSK通信への応用
1次の複素係数ディジタルノッチフィルタの縦続構成を用いて複数個の複素正弦波を検出する手法を提案し,その動作特性を解析した.QPSKスペクトル拡散通信システムにおいて複数の正弦干渉波の除去を行った場合の計算機シミュレーションを行い,フィルタ出力の信号成分と雑音成分を求め提案手法の有効性を確認した.
3.適応ディジタルフイルタの音声分析への応用
適応IIRノッチフィルタを用いて音声の基本周波数検出とフォルマント周波数検出を行うことにより,音声の韻律情報分析を行う手法を提案した.まず,音声生成モデルを用いて基本周波数とフォルマント周波数の検出が可能であることを確認した.現在,実音声を用いた実験を行い適応IIRフィルタと従来法との比較検討を行っている.

研究成果

• [文献書誌] Shotaro Nishimura: "Performance improvement of DSSS communication systems using an adaptive IIR notch filter"Proc. IEEE International Symposium on Circuits and Systems. Vol.III. 813-816 (2001)
• [文献書誌] Aloys Mvuma: "Suppression of narrow-band interference in a DS spread-spectrum receiver using a lattice-based adaptive IIR notch filter"Proceedings of ITC-CSCC '01, Tokushima, Japan. Vol.II. 909-912 (2001)
• [文献書誌] Aloys Mvuma: "Adaptive optimization of notch bandwidth of an IIR filter used to suppress narrow-band interference in DS-SS system"第16回ディジタル信号処理シンポジウム講演論文集. 583-588 (2001)
• [文献書誌] 山口達也: "適応ノッチフィルタの日本語地方言語分析への応用"第16回ディジタル信号処理シンポジウム講演論文集. 577-582 (2001)
• [文献書誌] Aloys Mvuma: "Adaptive optimization of notch bandwidth of an IIR filter used to suppress narrow-band interference"Proc. IEEE International Symposium on Circuits and Systems, May 2002, Phoenix Arizona. (採録決定)(印刷中). (2002)
• [文献書誌] Hai-Yin Jiang: "Steady-state analysis of complex adaptive IIR notch filter and its application to QPSK communication"電子情報通信学会英文誌. Vol.E85-A(印刷中). (2002)