トランジスタ回路の解の個数と安定性に関する理論的検討

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13650414
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 西 哲生 九州大学, システム情報科学研究院・情報工学部門, 教授 (40037908)
• 研究分担者: 緒方 将人 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (90325548) ; 高橋 規一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (60284551)
• キーワード: トランジスタ回路 / 解の個数 / 安定性 / CNNによる信号処理 / 大域安定 / 離散時間2値システム

研究概要

本研究課題では、解の個数に関する一つの結果を与えるとともに、トランジスタ回路を含むより一般の能動回路、すなわち、ニューラルネットワークやCNN(Cellular Neural Networks)のシステム方程式の安定性について検討することであった。本年度は、特に安定性に関しては種々の安定条件を求めることが出来た。
1.CNNの安定性は信号処理の上では理論的には最も基本的な問題であるが、1次元CNNの中でも素子数2でかつ閾値のない場合に対してのみ必要十分条件の場合を与えていた(本研究課題において)。この結果を閾値がある場合に対して研究し、安定であるための十分条件を与えることが出来た。
2.シグモイド関数を非線形特性にもつ2次元離散時間CNNに関して、安定であるための必要十分条件を求めることが出来た。
3.CNNを、等号の制約条件付き最適化問題に適用し、プログラムが非常に容易でかつ安定な収束が保証される方法を提案した。この結果は、従来のホップフィールド形ニューラルネットワークによる組み合わせ最適化問題の欠点を改善したものと見なすこともできるし、古くから知られている線形計画問題を電気回路で解く方法の一般化とも見なすこともできる。
4.トランジスタを含む能動RC回路の安定問題に関して、浮遊素子により生じる分母多項式の高次項が負とならないための回路構造上の条件を与えた。
5.微分方程式で与えられた2次元CNNが大域安定(globally stable)であるための必要十分条件を与えた。

研究成果

• [文献書誌] Norikazu Takahashi, Tetsuo Nishi: "Effect of Biases on the Complete Stability of Planar Dynamical Systems related to CNNs"Proceedings of the 2003 Workshop on Nonlinear Dynamics of Electronic Systems, May. 263-266 (2003)
• [文献書誌] Hajime Hara, Tetsuo Nishi, Norikazu Takahashi: "Necessary and Sufficient Condition for the Second-Order Discrete-Time Systems Described by the Signum Function to be Stable"Proceedings of the 2003 International Technical Conference on Circuits, Systems, Computers and Communications, Jul.2003. 585-588 (2003)
• [文献書誌] Jun Guo, Tetsuo Nishi, Norikazu Takahashi: "A Method for Solving Optimization Problems with Equality Constraints by Using the SPICE Program"IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences. E86-A, no.9. 2325-2332 (2003)
• [文献書誌] Tetsuo Nishi, Masato Ogata: "On the Relation between the Stored and the Dissipated Energies in Circuits Composed of Linear Capacitors, Linear/nonlinear Resistors, Inductors, Distributed Elements and DC Sources"Proc.2003 European Conf.on Circuit Theory and Design. Vol.1. 217-220 (2003)
• [文献書誌] Norikazu Takahashi, Tetsuo Nishi: "On Termination of SMO Algorithm for Support Vector Machines"Proceedings of International Symposium on Information Science and Electrical Engineering 2003(ISEE 2003),. Vol.1. 187-190 (2003)
• [文献書誌] Hajime Hara, Tetsuo Nishi, Norikazu Takahashi: "A Consideration on the Stability of the Third-Order Discrete-Time Systems Including Signum Function'"Proceedings of International Symposium on Information Science and Electrical Engineering 2003(ISEE 2003). Vol.1. 22-25 (2003)