インパルスレーダー用送信アンテナとして、直方体キャビティ内部に取り付けた、抵抗装荷アクティブモノポールアンテナの開発を行った。アンテナの特性解析には、FDTD法に基づく電磁界解析シミュレータFidelity(Zeland社製)を用い、パルス波生成回路と増幅回路の解析には、回路シミュレータS-nap(MEL社製)を使用した。その結果、直方体キャビティの大きさを48mm×44mm×44mmとし、その内部に長さ36mm、幅36mmの板状モノポールアンテナを配置し、アンテナ先端とキャビティ壁の間に抵抗68Ωを接続したときに、アンテナの入力インピーダンス、指向性利得が周波数0.5GHz〜4.5GHzでほぼ平坦となることを明らかにした。アンテナの入力インピーダンス計算値は、測定値とよく一致した。また、矩形波パルス生成回路に、シリコントランジスタ2SC5761を用いた増幅回路を接続することで、増幅回路とアンテナ間のインピーダンス整合を改善し、増幅回路とアンテナを組み合わせた動作利得計算値が0.5GHzで20dB、4.5GHzで10dB、その間ではほぼ直線的に変化することを明らかにした。動作利得計算値は、従来の構造のものに比べて、15dB以上増加しており、インパルスレーダー用送信アンテナとして、小型で広帯域特性を実現することができた。次に、このアンテナを受信アンテナとして使用し、その後段にリニアIC μPC32151T増幅回路を採用して、受信特性を計算した。また、送信アンテナと同じ構造のアンテナを受信に用いて、送受信アンテナ間の配置を変えて、送信アンテナからの直接波が受信アンテナにどう影響するかを数値計算により明らかにした。現在、送受信回路まで一体化した送受信アンテナの試作を行っている。今後、アンテナから放射される電磁波パルス波形及び受信波形の時間応答、周波数を測定する予定である。
|