研究概要 |
本年度は,境界要素法を用いた人体周りの音場を解析するソフトウェア環境の開発を重点的に行った.人体の周りの音場を,人間の可聴周波数である20kHz程度まで解析するためには,スーパーコンピュータにおいて長時間の計算を行う必要があるため,特にスーパーコンピュータにおいて,効率の高い計算を行うためのプログラミング(チューニング)に時間を要した. 擬似頭(ダミーヘッド)および人体頭部および胴体の形状を計測するための準備を進めている.計測環境は,本研究費で購入した3次元計測装置と,現有のワークステーションをもとに構築されており,ダミーヘッドを用いた計測精度の検証を行っている.さらに,解析結果の実測との比較のために,研究代表者らが計測した全周方向の頭部伝達関数のデータベースの整理を行った.このようなデータベースは世界的にみても非常に少なく,その結果を,広く一般の利用に供するために,インターネットを通じて公開することとした. これらの準備と並行して,頭部伝達関数のモデル化についても検討を進めている.具体的には,共通極・零モデルに基づいた全周方向の頭部伝達関数の表現について,その精度や妥当性について考察を行っている. 上記のような研究計画を遂行した結果として,平成13年度は,発表論文は少ないが,解析および計測を行う環境が整ってきたので,今後は解析と計測を行い,その結果をもとにした研究の成果を,国内外の学会において発表する所存である.
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