研究概要 |
本研究の目的は,最適化問題に対する準最適解を求めるアルゴリズムとして,近年,注目されている「遺伝アルゴリズム」を用いて,与えられた設計条件(パケット廃棄確率制限,平均パケット伝送遅延時間制限等)の下で,ランダムアクセス無線通信システムの各種パラメータ(パケット再送確率,最大再送回数等)を最適設計するための設計手法を開発することである.特に,ランダムアクセス無線通信システムとして,次世代移動体通信システムにおける実用化が検討されている周波数ホッピング・スペクトル拡散アロハ方式を対象とした. 第1ステップとして,スペクトル拡散アロハ方式が複数の安定平衡点を有する双安定領域に対する解析を,カタストロフィ理論を利用して行った.特に,指数バックオフ・アルゴリズムと再送カットオフを採用した周波数ホッピング・アロハ方式の双安定領域の可視化に成功した. 第2ステップとして,遺伝アルゴリズムの適用法について検討を行った.特に,平均パケット伝送遅延時間が所望の値以下であり,システムが単安定で動作する領域を制約条件とし,スループットを最大化するという意味において最適な指数バックオフ・アルゴリズムのパラメータ(初期値とバックオフ係数)および再送カットオフのパラメータの値を数値実験により求めた. しかしながら,当初の予定であった周波数ホッピング方式に対するパラメータの最適設計までは完了することができなかった.これに関しては,次年度に継続して検討を行う予定である.
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