研究概要 |
Ku(14/12GHz)帯でのSat.D方式の効果の実験、適用法、さらにL(2GHz)帯の移動通信方式の設計に必要な電波伝搬特性および劣化補償のための各種方策について研究を実施した。 (1)L帯での移動体放送方式の設計に必要な時間遅延ダイバーシテイ(TDD)方式の研究 信号減衰による回線品質劣化の新しい補償法として、時間遅延させた2信号を合成して稼働率を向上させる新しい方法として時間遅延ダイバーシテイ(TDD)方式について測定実験、データ処理を行った。測定は、函館(10月)、旭川(11月)市内でGPS衛星を用い、データを収集し、エクセルによる処理プログラムを作成し、特性解析を行った。最適な遅延時間は、都市構造の違いにより、若干の最適遅延時間に差があるが、仰角約45°で約3〜6分に最適値が存在することを明らかにした。改善効果は約2倍の稼働率改善となっている。 (2)L帯での移動体放送方式の設計のためのサテライトダイバーシテイ(Sat.D)方式の研究 静止衛星を用いて移動体受信機で、静止衛星からの信号の遮蔽特性を補償する1方法として、Sat.D方式を検討している。GPSの測定データを擬似静止衛星からの信号と考え解析を行なった。函館旭川のデータでも約2倍の稼働率改善となっている。これらの結果は、(1)と合わせて、2004年6月のIEEE AP-S(アンテナ伝搬シンポジューム),8月のISAP(国際アンテナ伝搬シンポジューム)‘04に発表した。 (3)Ku帯でのTDD/Sat.D方式の提案 Ku帯でのSat.D方式は、同じ敷地にアンテナを2基設置して信号強度の大きい信号に切替て通信を継続し、回線稼働率の改善を図るものである。Sat.D方式は2衛星を使用しているが、これに上記のTDD方式の概念を導入し、各衛星に2chを設けて一方のchを遅延させることによりTDD/Sat.D方式を構成し、ほぼ完全に不稼働率を無く方式を提案し、検討を進めている。今後、より詳細で長期のTDD/Sat.D方式の特性を明らかにする実験を継続する。この検討結果は2005年7月のIEEE AP-S(アンテナ伝搬シンポジューム)に発表の予定である。
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