研究課題
基盤研究(C)
Ku(14/12GHz)帯でのサテライトダイバーシテイ(Sat.D)方式の特性測定実験、適用法、さらにL(2GHz)帯の移動通信方式の設計に必要なSat.D方式、時間遅延ダイバーシテイ(TDD)方式の電波伝搬特性および劣化補償のための各種方策について研究、測定実験を実施した。(1)L帯での移動体放送方式の設計に必要な時間遅延ダイバーシテイ(TDD)方式の研究時間遅延させた2信号を合成して稼働率を向上させる新方法としてTDD方式について提案し、測定実験、データ処理を行った。測定は札幌、旭川、小樽、函館の4市内で実施し、GPSの測定データを擬似静止衛星からの信号と考え、エクセルによる処理プログラムを作成し特性解析を行った。TDD方式での最適な遅延時間は、都市構造の違いにより、若干の最適遅延時間に差があるが、仰角約45°で約3〜6分に最適値が存在することを明らかにした。衛星見通し率の改善効果は約2倍の稼働率改善となっている。(2)L帯での移動体放送方式の設計のためのサテライトダイバーシテイ(Sat.D)方式の研究静止衛星を用いて移動体受信機で、静止衛星からの信号の遮蔽の夜劣化を補償する1方法として、Sat.D方式を検討した。札幌、旭川、小樽、函館の4市内でのデータを用いて解析し、各都市で衛星見通し率の改善効果は約2倍の稼働率改善となっている。Sat.D方式の適用により、ほぼ90%の衛星見通し率が達成できていることが明らかになった。(3)Ku帯でのTDD/Sat.D方式の提案Ku帯でのSat.D方式は、同じ敷地にアンテナを2基設置して信号強度の大きい信号に切替て通信を継続し、回線稼働率の改善を図るものであり、測定を実施した。Sat.D方式は2衛星を使用しているが、これに上記のTDD方式の概念を導入し、各衛星に2chを設けて一方のchを遅延させることによりTDD/Sat.D方式を構成し、ほぼ完全に不稼働率を無く方式を提案し、検討を進めている。今後、より詳細で長期のTDD/Sat.D方式の特性を明らかにする実験を継続する。以上の結果は、IEEEAP-S(アンテナ伝搬シンポジューム)、通信学会論文誌、研究会などに論文として37件、口頭発表29件を発表した。
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