| 研究概要 |
B-ISDN環境下においては,ユニキャストとマルチキャストが混在したトラヒックに対応可能なマルチキャストATMスイッチの構築が求められている.これまで,小モジュール化したノックアウト集線網を拡張バンヤン網により多段接続したスイッチモデルが提案されているが,解析的な手法による特性評価が行われていない.一方,通信品質の異なるトラヒックを同一のネットワーク上で扱う要求が高まっているが,従来のスイッチモデルでは異なる優先権を持ったトラヒックに対するスイッチングが考慮されていない.そこで,第1に,大規模化が可能なノックアウト拡張バンヤンマルチキャストATMスイッチの特性解析を行い,その結果がシミュレーション結果と一致することから,特性解析の妥当性を示した.第2に,GFRサービスをサポートするIP over ATMネットワークにおいて,まず単一FIFOバッファに到着した複数のセルをランダムな順序で入力させるときの,単一FIFOバッファのしきい値を変化させた場合における,各コネクションのパケットレベルでみたスループット特性や棄却率特性について評価を行った.さらに,優先度を付加したスケジューリング法を提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を示した.第3に,送受信機のチューニング時間を考慮したWDMネットワークにおいて,送受信機のチューニング時間による遅延特性の劣化を改善するために,連続するタイムスロットにおいてデータパケットの送信あるいは受信を行うノードに対して,同波長を割り当てる波長割当てアルゴリズムを提案した.計算機シミュレーションにより,提案方式はシステム遅延特性を大幅に改善できることを示した.本研究により,優先メディアを含むマルチキャスト通信に適したATMスイッチの構成がより明らかになり,より高効率で信頼性の高いネットワークを構築できると考えられる.
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