リアル映像空間共有型コミュニケーションの実現に向けての最大の課題は、共有型リアル映像空間入力法の開発にある。共有型リアル映像空間入力法として、多数のカメラで撮影した画像と、レーザレーダを用いて計測した奥行きデータとを統合し、リアル三次元映像空間を構成するアプローチが考えられる。しかし、このアプローチには、以下の問題がある。 1.表現座標系と解像度が全く異なる画像と奥行き情報との統合の難しさ 画像は直交座標系で表現されているのに対し、レーザレーダによる奥行き計測データは球座標系で表現されている。また、奥行きデータの空間解像度は、画像の空間解像度よりもかなり低い。座標系と解像度とが全く異なる異種データを統合することは、極めて困難である。 2.自由な視点移動に対処可能な三次元画像構造表現への変換の不安定性 視点移動画像をリアルタイムで生成することが限られたコンピュータ処理能力でも可能となるように、統合化された情報を「コンパクトな三次元画像構造表現」に変換しなければならない。 上記(1)の情報統合問題と上記(2)の三次元画像構造表現との解決に向け以下の手法の開発を中心に研究を行った。 (1)奥行きデータからの区分的平面・曲面表現の生成法 球座標系で表現された広視野の奥行きデータに対し、球座標系上で微分幾何学的演算を適用し、区分的平面・曲面近似表現を得る手法を開発した。ここでは、近似構成単位を高次曲面にまで拡張した。 (2)複数の多角的観測画像の縫い合わせによる多重解像度大規模テクスチャ画像の生成法 ズーム率の異なる複数のカメラで撮影した複数枚の画像を位置合わせしながら縫い合わせ、多重解像度の大規模テクスチャ画像を作成する。広視野画像とズーム画像とを併用することで、画像間の位置合わせを容易化すると共に、解像度の異なる大規模テクスチャ画像集合を生成した。
|