| 研究概要 |
本研究では平面回路線路あるいは金属導波管を用いたミリ波帯漏洩波アンテナの開発を目的としており、昨年度は不要な漏洩モードであるチャンネルガイド漏洩モードが動作周波数範囲内でカットオフとなるスタブ装荷漏洩リッジ導波管の新たな構造を提案し,その有用性の実験的検証も行った。本年度は提案構造について構造パラメータを変化させた場合の漏洩特性を申請者の開発した改良モード整合法を用いて厳密に求め、アンテナ特性の低サイドローブ化を実現するために要求される条件である漏洩導波路の位相定数を一定値に保ちながら、漏洩定数を零からある値の大きさまで連続的に変えることのできる導波路形状の検討を行った。その結果、リッジ部の位置を移動させることで漏洩定数を大きく変化させることが可能となり、位相定数はわずかにしか変化しないことを見出した。その際、同時にリッジ部の長さを調節することで、漏洩定数の変化に影響を与えずに位相定数の僅かな変動を抑え、位相定数は一定値に保てることが明らかとなった。この形状変化を用いて-30dBのサイドローブをもつ高性能漏洩波アンテナの設計を行った。また、スタブ装荷漏洩リッジ導波管のアレイ化を検討するためにその給電回路も含めた設計、試作を行い、X帯で放射特性の測定を行い、アレイ化の有効性を実験的にも検証した。これらの結果よりスタブ装荷漏洩リッジ導波管で構成された漏洩波アンテナの実用性を明確にした。さらに、側壁を設けた平面回路線路を用いた漏洩アンテナについても誘電体基板と導体基板の間に空気層を設けて漏洩定数を調整する方法の検討を行い、アンテナ高性能化の可能性を示した。
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