1 正整数のユニバーサル符号化において符号語長のオーダーの理論的限界を明らかにする問題、すなわち、任意の正整数nを符号化する場合のnに対する符号語長の上界のオーダーをどこまで小さくできるかを示すという問題について、これまでに知られている最も短い符号語長の上界のオーダーは、Ahlswede-Han-Kobayashiによって示された、修正対数スター関数を定数個連ねた形の式で表された符号語長であった。この上界を本研究では平成13年度に更新した。具体的には、符号語長を表す式の項の数を再帰的に表現する形の式で符号語長のオーダーを表す方法であった。平成14年度は、本研究で採ったその方法は繰り返すことができ、更に、その繰り返しを重ねることによってわずかずつであるが符号語長の上界を表す式のオーダーを本質的に下げていくことができることを示した。 2 任意の画像のフラクタル表現ないしフラクタル圧縮は、これまで、元の画像と似た画像しか符号化・復号できない非可逆な方法しか存在していなかった。デジタル階調画像のフラクタル表現において符号化小領域ごとに符号化される情報である輝度と明暗というふたつの実数値に、グループ化方式の正整数のユニバーサル符号化の考え方を適用して、ふたつの正整数に帰着して符号化し、理論的に可逆フラクタル表現が可能になることを平成13年度に本研究で示していた。平成14年度は、符号化小領域を2×1画素と選ぶ場合について基本アルゴリズムを確立し、標準画像を用いて符号化実験を行い、整数のユニバーサル符号化を用いて画像の可逆フラクタル表現が可能であることを初めて実証した。
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