研究課題/領域番号 |
13650453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
計測工学
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
春日 正男 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00280909)
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研究分担者 |
長谷川 光司 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (50272761)
阿山 みよし 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30251078)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 臨場感 / バイノーラル信号処理 / 音場再生 / IIRディジタルフィルタ / 頭部伝達関数(HRTF) / 水平面音像定位 / 視聴覚相互作用 |
研究概要 |
マルチメディア信号による高臨場感が得られる音場再生研究の一つに、頭部伝達関数(head-related transfer function ; HRTF)を利用した立体音場再生システムがある。受聴者はこの関数を変更することにより、将来的には、高臨場感が得られる音場を自分で自由に制御できる音場再現が可能となる。通常、この処理には、FIRフィルタを用いるのが一般的である。しかし、実時間処理やフィルタ係数の切り替えが困難であるという問題があり、本研究では、フィルタ構成次数が少なく、かつ、係数の変更が容易なIIRフィルタで近似したHRTFによる音像定位の実現手法を提案した。しかし、後方に定位させた音像が、前方へ折り返してしまう現象が増大し、定位が曖昧になる結果となった。そこで、さらに本研究では、IIRフィルタを用いた音像定位の精度向上を目的とし、HRTFを近似する際に、後方に定位し易い周波数帯域である500Hz〜2kHz及び8kHz-12.5kHzを考慮した条件を設定し、それらの設計条件に従って近似したHRTFを用いて、2スピーカ再生による音像定位実験を行った。その結果、これらの帯域の近似精度を高めることによって、後方における音像定位の精度向上の可能性を得た。さらに、スピーカ数を増やすことによる音像定位の再現精度向上についてシミュレーション実験で検討し、音源を増やすことにより、より高い周波数帯域まで音場の再現精度が向上する、との結果を得た。また、一方で、臨場感のある空問の再生においては、映像の提示位置と音像の定位位置の一致性は、重要な要素の1つであることに着目し、実際に移動する音源や映像を用いて、動的な状況下における中心視及び周辺視領域での視覚と聴覚の相互作用を明らかにすることを目的とした研究を行った。コンテンツとして、パトカーの走る映像とそのサイレン音を様々に組合せた提示実験を行い、結果として、音像は刺激の提示開始時に最も強く映像の影響を受けるとの知見を得た。さらに、周辺視領域においては、その効果が注視点から離れるほど強く働くグループと、注視点に近い位置で強く働くグループとの2つのタイプに分けることができる、との知見を得た。
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