研究概要 |
独立成分分析とは,統計的に独立な信号が混合した観測信号から,元の独立な信号を推定しようとするものである.最近ニューラルネットワークの分野で,この独立成分分析に関する学習アルゴリズムがいくつか提案されている.また,その応用分野として,音声・画像や生体信号処理などのブラインド信号分離でその有効性が示されている.しかし,このような独立成分分析をパターン認識の特徴抽出に適用する場合,独立成分が有用であるのか,あるいは,どのような特徴が抽出されているのかについては明確にされていない.そこで,手書き数字やガス漏洩音などに独立成分分析を適用することの可能性を検討した.具体的には独立成分分析で求められて独立成分が特徴量として有用であるのかということを評価した. 特徴量を評価するためには,識別方法としてはできるだけ単純なほうが望ましいので,今回はk最近傍法を用いて認識率求めた.この認識率により特徴量の有効性を判断することにした. 実験結果より,各カテゴリごとに独立成分分析を行う部分空間法の適用が有効であること,また,抽出された独立成分の選択が重要であることなどが明らかとなった.さらに,主成分分析などを用いた場合と認識率で比較して,独立成分によって抽出された特徴の有効性を示した. 今後は,入力情報のどのような特徴が抽出されているのかということと,それらの物理的な意味について考察する必要がある.
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