研究概要 |
第1段階Ox(817A)SJIS2次元再構成アルゴリズムの並列実装 本研究で提案している木構造フィルタバンクによる3次元CT再構成アルゴリズムを並列設置パソコンに実装することを目的に,この2次元CTアルゴリズムの最適化を実施した.この実装において高速化を達成するためには,2次元フィルタが分離型であることを利用するとともに,CPUのキャッシュが効率よく動作するための工夫が重要になる.これに対して,分離した1次元斜め方向フィルタを並列動作するように処理を変形し,近傍のアドレスが逐次フェッチされるような構造に書き直した.この結果,我々が従来実装してきた方法に比較して,約40倍程度の高速化が達成でき,256×256画素の再構成における逆投影処理は,Pentium3(800MHz)プロセッサを用いるとして0.1秒足らずで処理できるようになった.また,本研究の再構成アルゴリズムにおいても観測データに対して高域強調フィルタを施す処理が必要である.このフィルタ処理は,従来ではFFTを介して実装されていたが,本研究では新たに全域通過フィルタを用いる手法を見出し,従来法に比較してフィルタの伝達特性がほとんど変化せずに約10倍の高速化達成できることを確認した.さらにまた,木構造フィルタバンクにおけるフィルタ処理の境界拡張において,境界付近のDC成分が保存するような方式を発見し,再生像の画像輪郭付近の雑音を低減することができた.以上の結果,Feldkampらの近似的3次元CT再構成法に対しては,例えばDSPを数台並列動作させることにより実時間再構成が可能になるとの見通しを得た. Ox(8179)SJIS第2段階Ox(817A)SJIS3次元再構成アルゴリズムのための再投影処理 Grangeatは,コーンビーム投影と3次元ラドン変換の関係を見出しているが,このような厳密な再構成法が実時間で実装されたという報告は未だ行われていない.この関係はコーンビーム投影データを線積分(再投影処理と呼ばれている)すれば,その結果は3次元ラドン変換の微分に等しくなるというものである.本研究の再構成アルゴリズムはサブバンドシステムにおける合成バンクを利用するものであるが,これに対応する分析バンクは2次元信号の各種方向の線積分を計算することに対応する.そこでまず,この分析バンクを木構造化することにより,高速な2次元ラドン変換すなわち再投影処理が実現できることを確認した.現在,申請物品Pentium4(2GHz)プロセッサを6台並列設置し,3次逆投影処理を実装中である. なお,本研究費は2001年11月に認められたため,ほぼ計画が5ヶ月ずれ込んでいることを付記しておく.
|