研究概要 |
平成13年度の研究実績は以下の3つに大別される. 1.地中レーダのデータを用いて合成開口処理を行い,地中のランダム性や受信信号に含まれる雑音も考慮に入れ,物体が存在していると予想される領域を推定した.さらに,その推定領域に対して時間領域非線形トモグラフィ像再構成法(FBTS法)を適用し,物体の形状,電気定数,位置を高速に推定するアルゴリズムを開発した.また,合成開口処理による物体の位置の推定が失敗した場合の対処方法についても議論した. 2.再構成領域が広い場合,背景媒質に対して推定物体の不均質性が強い場合,および信号に大きな雑音が含まれている場合,これまでのFBTS法では再構成が困難となった.そこで,低域通過フィルタをアルゴリズムに導入し,最初は信号の低周波成分だけで物体の大まかな形状を推定し,順次低域通過フィルターのカットオフ周波数を上げていくことによって,物体の再構成精度を上げていくフィルターを利用したFBTS法(FFBTS法)を提案した.本手法によれば,これまでの手法と比べて倍以上の大きさの雑音を含んでいる受信データからも再構成が可能となった.また,雑音が無い場合でさえも再構成することが不可能であった物体に対しても,精度良く再構成することができた. 3.これまでは2次元問題を取り扱っていたが,パルス波の地中伝搬の様子を3次元の数値シミュレーションによって明らかにした.さらに,ボアホールを用いた3次元の地下構造の推定問題をFBTS法を用いて解析し,4本のボアホールを用いることで,地中の空洞の位置の3次元的な配置を推定することができた。
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