研究概要 |
本研究課題に関してはまず従来からの課題である表面粗さの非接触計測のオンライン化を目指し,パターン投影法と,レーザ光の散乱における回折像を利用する方式とを平行して研究を進めた。パターン投影法とは,通常光源の照明によるパターンを対象物面の反射を経由して観測面に像を投影し、コントラストなどの画質を表わすパラメータを計測する。対象物面が結像系の光学的伝達関数に影響を与えるため、画質より表面粗さが計測できることになる。レーザの回折像方式は,レーザ光を照射された面の表面粗さにより回折が発生し,回折像の強度分布の包絡線形状が表面粗さの統計的パラメータに関連しているので、包絡線形状を計測できれば表面粗さが計測できる。 表面粗さのオンライン計測には,投影像や回折像をビデオカメラで計測する必要がある。しかしながらビデオカメラはこうした目的にはそのダイナミックレンジに問題がある。本研究ではパターン投影法でビデオカメラを用いた場合,ビデオカメラのダイナミックレンジの制約からくる計算値からの偏差に対し,濃淡画像の輝度範囲補正方式を提案し,その有効性を確かめた。また白色,黒色,透明,赤色,黄色等のカラープラスチック板を用い,着色によるコントラストへの影響を調べる実験に着手した。表面粗さがほぼ等しいとき,コントラストはほぼ同じであり,人の光沢感とは必ずしも一致していないことがわかった。 レーザ光回折法では,ビデオカメラによるパターン全体の位置の計測と,ホトダイオードによる固定点での光強度計測を組み合わせる方式を提案し,回折像の包絡線形状の中心位置とその周辺の2点の光強度から回折像の強度分布形状計算する方法を提案し,基礎実験を行った。現在は実際に計測する場合の問題点を抽出した段階である。
|