研究概要 |
本研究では,確率システムの実現理論と部分空間同定法を応用することにより,閉ループ系の同定に対して新しい方法を提案する.本年度の成果は以下の通りである. 1)同時入出力(joint input-output)同定法を採用して,システムへの外部入力rから同時出力w=(y, u)までの伝達関数T_<wr>=[T_<yr> T_<ur>]を同定して,しかる後にP=T_<yr> T^<-1>_<ur>という関係によってプラントの伝達関数P(z)を同定する部分空間同定法を昨年提案した.本年度では,閉ループ系が純ランダムなディザー信号と純確定的な目標値信号(例えば合成正弦波)を受けるより一般的な場合を想定して,プラントP(z)のみならずコントローラC(z)を同定する方法を提案した.この結果の一部はIFAC World Comgress(2002年7月,Barcelona)で発表した. 2)閉ループ系に対する部分空間同定法の同定精度を例題を用いて数値的に評価を行い,本研究で提案している直交分解に基づく部分空間法を利用した閉ループ同定法が,他の部分空間法.を用いた方法より数値的に精度が高いことをシミュレーションによって確認した.この結果は,2003年5月の計測自動制御学会制御部門大会で発表の予定である. 3)部分空間法を閉ループ化学プラントの同定に応用する研究を企業と共同して行い,成果の一部をIntemational Symp. on Advanced Control of Industrial Processes(2002年6月,熊本)で発表した.この他,部分空間法を応用したブラインド同定法を提案して,第4回アジア制御会議(2002年9月,Singapore)で発表した.
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