研究概要 |
本研究の主な成果は以下のようにまとめられる.いずれの課題に関しても,プログラムの実装等においてデータ構造とアルゴリズムを工夫している. ・線形システムに対するロバスト制御器の設計に関する検討 値集合を用いる方法の従来の結果の整理と拡張を行った.また,完全分解できない関数に対する値集合の算出についても,かなり有効な方法を考案できた.また,これに基づいた多変数多項式に対するプログラムのインプリメントはほぼ完成している. ・区分的線形リヤプノフ関数の生成に関する研究 リヤプノフ関数の構成が,安定定理から導かれる線形計画問題として定式化できることを明らかにした.これにより,凸多面体リヤプノフ関数の場合よりもその構成法が見通しのよいものととなった.さらに,現在の自由度では,リヤプノフ関数が構成できない場合に自由度を増やすための適切な分割超平面の計算法なども提案するとともに,この自由度を増やした場合に対して対応する線形計画問題を高速に解く方法も提案した.また,超平面で分割するだけでなく,区分的な超平面で分割すること,不連続系への検討も行った.区分的な超平面で分割する方法に関しては,更に一般化を行い,区分的な超平面と関連する連続な区分的線形関数を用いたリヤプノフ関数の構成法も提案した. ・双線形問題の解法区分的線形 リヤプノフ関数を用いた制御系の設計の際に問題となるのは,安定条件などに,区分的線形リヤプノフ関数に含まれるパラメータと制御ゲインのパラメータの積が現れるため,双線形問題を解く必要があることである.これに対して,Zoutendijk法を用いた解法を提案し,これのインプリメントも一応完了し,双線形計画問題を解くことができるようになった.双線形問題は,非凸問題であり,これを解くのはそれ程容易ではないが,双線形行列不等式条件よりは,解き易い問題と予想される.実際,双線形であることを利用すると,探索方向を決めた後の直線探索は高速に実行できる.
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