| 研究概要 |
マルチレートシステムは,センサとアクチュエータの動作周期が異なる場合や多種あるセンサの間で動作周期が異なる場合に現れ,化学プロセスを中心に多様な制御応用場面で遭遇するシステムである.本研究の目的はこのようなマルチレートシステムの同定ならびに制御についての理論的及び実際的な課題を解明することである.本年度は,昨年度検討したマルチレートシステムの同定および制御手法を理論的に再検討し,さらに数値シミュレーションおよび実験により新しく開発した手法の有用性の検証を行った.
具体的には,1)マルチレートシステムから得られたデータをもとにしたシステムの同定法およびマルチレートシステムに対するモデル追従制御に関する理論的再検討,2)1入出力マルチレートシステムに対する適応制御系設計法に関する理論的研究とそのサーボ系への応用,および3)多変数マルチレートシステムに対する同定と制御に関する理論的検討を行った.
2)のマルチレートシステムに対する適応制御系設計に関する研究では,機械システムへの適用を念頭に,マルチレート適応制御系設計法の提案を行い,実際のサーボ系へ適用し,実験により有用性の検証も行った.また,1),3)の理論面での検討では,アルバータ大学(カナダ)を訪問し海外共同研究者のS. L. Shah教授らとプロセス系への応用に関する課題について検討した.
なお,上記の成果の一部は国際会議および国内講演会で既に発表または発表予定である.また,2002年6月に熊本で開催された国際会議において,適応制御およびマルチレート制御に関連したWorkshopを開催し,成果の一部を発表した.
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