研究概要 |
マシンビジョンにおける運動物体の理解系は透視的システム(perspective system)と呼ばれる動的システムとして記述できる.透視的システムは,数学的には,多様体上の動的システムとして定式化するのが自然であるが,殆ど至るところ(generically)定義された非線形(動的)システムとしても定式化することができる.実際,透視的システムにおいては,透視情報を与える観測(出力)方程式は状態変数の有理関数で与えられるので,分母多項式をゼロとする状態では定義されない.したがって,運動方程式の線形・非線形性に関わらず,透視的システムは常に非線形システムとなり,マシンビジョンの問題は,システム理論的には,透視的システムの状態およびパラメータを推定する問題として定式化できる. 当初,申請者らは多様体上の動的システムとして研究を進めてきたが,最近の研究から非線形システムとして定式化しても多くの有用な成果が期待できることが分かった.その主な理由は非線形システムに関する多くの成果が比較的困難なく利用できるからである. 本研究では,運動物体の理解系の数学的モデルである透視的システムを特別な形をした非線形システムとして定式化し,具体的に次のような課題について研究していく. 透視的線形システムに対する状態を推定するオブザーバーについて研究する.特に,マシンビジョンの立場から,透視線形システムがどのような条件を満たすべきかを検証し,このような条件の下に時間の経過と共に状態推定誤差が確実にゼロに収束するようなオブザーバーの構成方法を確立した.さらに、これらの結果を時変Perspective systemシステムへ拡張し、計算機シミュレーションによって,その有効性を確認した.また,時不変、時変Perspective systemのオブザーバーについての研究成果は次の国際,国内学会において発表されました(研究発表の項を参照).
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