研究概要 |
「泰平橋」,「長生橋」の解体調査及びPC桁の載荷試験では興味深い結果が得られた. 主要な調査結果をまとめると次のようである。 (1)PC桁のひび割れ,鋼材の腐食などの劣化の有無を調査した後に,携帯型鉄筋腐食診断器を使用して,PC鋼線の腐食状況の電気化学的モニタリングを実施した.その結果,コンクリートは劣化が生じておらず,中性化の進行および塩分浸透もほとんどなく,コンクリート中のPC鋼線の腐食は発生していなかった. (2)PC桁から採取したコンクリートコアを使用して,コンクリートの材料試験(配合推定,圧縮および圧裂引張強度)を実施するとともに,コンクリートの破断片および薄片試料により水和生成物および微視的内部組織の特徴を検討した.その結果,PC桁のコンクリートの水セメント比は32%と小さく,60N/mm^2の高強度コンクリートが使用されていたことが判明した. (3)「泰平橋」,「長生橋」から撤去したPC桁を使用して,曲げ及びせん断載荷試験を実施し,PC桁の曲げ・せん断耐力,変形性能,ひび割れ発生荷重,有効プレストレス量を調べた.その結果,PC桁の耐荷力は道路橋示方書から計算された値を上回っており,50年が経過したPC桁の健全性を確認できた.
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