研究概要 |
(1)せん断力下の付着破壊性状と付着性能試験方法に関する検討 コンクリートの打縦ぎ部の表面処理程度がせん断付着性状に与える影響を簡易的に評価するための試験方法について検討した.中央に打継ぎ部を有する角柱供試体(100×100×400mm)に,軸圧縮力を与えることにより,打継ぎ面に圧縮直応力とせん断応力とを作用させる一軸圧縮試験を行った.打縦ぎ面の表面処理程度(洗い出し深さ0〜4mm)および傾斜角度(45〜60度)を変化させた. その結果,表面処理程度がせん断付着性状に与える影響について評価するには,打継ぎ部の傾斜角度を60度とし,最大荷重,荷重変位曲線ならびに破壊に要したエネルギー(荷重変位曲線下の面積)を用いる方法が有効であることを明らかにした. 表面処理程度が異なる場合のひび割れの発生位置や破壊特性について検討するうえで,AE(Acoustic Emission)を用いた位置標定ならびにパラメータ解析が有効なことを明らかにした. (2)打継ぎ面の微小欠陥が付着性状に及ぼす影響に関する検討 コンクリートの打継ぎ面における空気だまり等の欠陥が付着性状に及ぼす影響について検討した.超音波法による評価,切断面の観察ならびに曲げ試験による評価を行った. その結果,打継ぎ面の凹凸の程度が大きいほど空気だまり等の欠陥が多く生じやすいことを明らかにした.型枠による大きな凹凸の上に,遅延剤を用いた洗い出しによる小さな凹凸を設けることにより,曲げ強度の80%程度の大きな曲げ付着強度が得られることを明らかにした.
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