研究概要 |
本年度は以下のような研究を行った. (1)実際の鋼床版舗装で表面温度の測定を行った.表面温度の測定は,赤外線センサーにて実施した.その結果,夏の高温時において,舗装表面は通常のアスファルト舗装と同様程度の温度であることがわかった.また,腹版や縦リブの付近とそれ以外では舗装温度がやや異なることも判明した.今回は試験的な測定であったので,今後長期の観測を行い,鋼床版舗装の温度について定量的に明らかにしていく予定である. (2)鋼床版舗装の表面縦ひび割れの発生原因として,アスファルト混合物の疲労を仮定し,設計などで用いられている疲労曲線を適用して疲労解析を実施した.対象とした鋼床版舗装は箱桁橋である.表面ひずみの計算には,角柱要素と帯板要素からなるFEMを用いた.ひずみ解析においては,現実に走行している車両の位置に軸荷重を作用させた.アスファルト混合物の弾性係数については,1年間の表面温度とアスファルトの性状,混合物の配合から月ごとに算定した.また車輪付近の要素分割を細かくした.このような条件によって計算されたひずみに,疲労曲線を適用して疲労度を計算した.その結果,疲労度は1年間で腹版ウエブ直上だけでなく,タイヤ縁部でも1.0に近い値を示した.特にタイヤ縁部では夏の高温時に疲労度の蓄積が大きいことが判明した.したがって,鋼床版においては高温時のアスファルト混合物の疲労性状が非常に重要である.
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