研究概要 |
地下鉄軌道系の三次元振動解析手法を構成し,さらに連成振動解析を実施してモデル化の妥当性や振動特性など,基本的事項について検討した. 1.三次元振動解析手法の構成 走行車輪・レール・まくらぎ・道床・トンネル・地盤から成る連成振動モデルを構築した.車輪・レール・まくらぎから成る部分系についてはこれまで構築してきた数値モデルを用い,道床以下については新たに三次元場としてモデル化を行った.その際にトンネル奥行き方向に波動場をFourier変換し,離散化波数法を適用し,問題を像空間における準二次元問題に帰着して解く方法を採った.また,解析手法には有限要素・境界要素結合法を用い,その際に必要となるGreen関数を,Lameポテンシャルに基づき誘導した. 以上に構成した三次元モデルを用い,道床上面に単位パルス力を入力した場合の応答解析を行い,数値的Green関数を作成した.これと車輪・レール・まくらぎから成る部分系とを結合することで,車輪・軌道・地盤系全体の三次元応答解析手法を構成した. 2.連成振動解析による検討 計算機環境としてPCクラスタを構築し,以上に構成した手法で連成振動解析を実施した.本解析と測定データおよび二次元モデルによる解析結果との比較を通し,モデル化の妥当性を検証した結果,三次元モデルを用いることで,地盤振動で重要となる100Hz以下の周波数域での振動特性が適切に再現し得ることがわかった. また,軌道に近い待避所より,むしろトンネル上部付近において100Hz以下の振動レベルが高くなる傾向にあり,地盤振動の評価には,トンネル断面の振動特性を適切に再現し得る数値モデルの構成が非常に重要となることが,本研究により明らかとなった.
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