これまで開発してきた低周波音の解析手法を、実際に施工された低周波音の低減対策工事の施工前後の実測データ分析に適用して手法の精度を検証した結果、本手法による解析結果が実測データをかなりの精度で再現していることが明らかとなった。 そこで、この手法を用いて、どのような対策を講ずると低周波騒音の低減に効果があるかを、3径間連続鋼製I形多主桁高架橋を解析対象として採用し、定量的に検討した。その結果、(1)これまで対症療法的に採られてきた、端対傾構をコンクリートにより巻き立てる方法は、低周波音の低減効果がほとんど認められないこと、(2)床版のみを橋台後方まで延伸する方法や主桁と床版を共に延伸する方法は、橋梁の支間長や走行速度により低減効果に差が認められ、常に効果を発揮するとは限らないこと、(3)床版のみを橋台後方まで延伸する方法や主桁と床版を共に延伸する方法は、これらの部分の支持条件によっても低減効果に大きな差が生じること、(4)コストの面を度外視すると、都市内高架橋では、各径間の中央に支点を設けることにより低周波音をかなり低減できること、(5)解析においては、橋梁進入時に車両にあらかじめ振動を与えておくか否かにより発生する低周波音の音圧レベルが異なるため留意が必要であること等が明らかとなった。 なお、当初の目的の1つであった「橋梁自体の構造ではなく、振動を引き起こす走行車両の構造を改良するという観点から低周波音を低減することが有効かどうかについても、解析的アプローチにより検討する」ことは、時間に制約上から十分な検討ができず、平成15年度以降に取り組んでいく予定である。
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