研究概要 |
近年,鋼橋の設計,製作,施工に関して合理化や省力化が指摘されている.鋼桁製作において合理化や省力化を考えた場合,ロボット溶接による生産ラインの自動化が不可欠である.鋼桁製作において,ロボット溶接による生産ラインの自動化を妨げている原因の一つに,水平補剛材と垂直補剛材の連結部,垂直補剛材とフランジの連結部が挙げられる.これらの連結部は狭隘な構造詳細であるために,溶接ロボットの可動を困難にしている.他方,箱桁製作において箱桁内の溶接作業を無くすために,150mmの垂直補剛材端ギャップを設けることが提案されている. 鋼桁製作におけるロボット溶接の可動性を上げること,並びに箱桁製作において箱桁内の溶接作業を無くすためには垂直補剛材の両端にギャップを設ける必要がある.しかし,垂直補剛材端ギャップが桁のせん断終局強度,及び曲げ・せん断の組合せ終局強度に与える影響は明らかにされていない.本研究は,これを明らかにするために次の研究を行なった. (1)垂直補剛材端ギャップの大きさの異なる4体の桁の静的載荷試験を実施した. (2)せん断を受ける桁,及び曲げ・せん断の組合せ荷重を受ける桁の耐荷力低下と垂直補剛材端ギャップの関係を,有限要素法による弾塑性有限変位解析によって調べた. これにより,垂直補剛材の剛性,垂直補剛材端ギャップ,及びウェブの初期面外たわみ形状が桁の終局強度を低下させるメカニズムを明らかにした.
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